みなさん、大事なお金を間違えて振込んでしまった!!!なんて経験ありますか?
そんなことあり得ないでしょ!
と、思う方も多いかもしれませんが実は私は経験をしているんですよ。
私の場合は、仕事で毎月たくさん振込をしていた中での、ちょっとしたパソコンでの操作ミスでしたが…。
その相手は気の知れた方だったので、すぐに返してくれました。
もちろん、事務処理はきちっとしました。
でも、普通はそんなにうまくはいきません。
知らない人に、振込んでしまったら大変です。
そんな場合も対処法はあります。
もし、お金を間違えて振込んでしまった場合どうすればいいのか、ぜひ参考にしてくださいね。
返金には「組戻し」が必要!

お金を振込みするときは、相手の銀行・支店・科目(当座・普通)・口座番号・口座名義人名のすべての情報が一致することで、振込が実行されます。
なので、振込を間違えることってあまりないと思います。
特に、窓口で振込依頼書に書いて振込む場合などは、銀行の方が相手の銀行・支店・科目・口座・名義を照会してくれるので、どれかが一致しなければ実行されません。
ですがいまでは、窓口で振込むことも少なくなり、ATM、スマートフォン、パソコンなどの端末を利用して振込むことがほとんどですよね。
その場合、間違えた相手の口座が存在する場合、振込は実行されてしまいます。
また、どの端末でも相手の口座番号を入力した時点で、相手の名義が画面に出てきますので、ここでちゃんとチェックせずに実行をしてしまうと「ちょっと待って!」は通用しなくなります。
私のように、インターネットで振込をして、0を一桁多く振込んでしまった・・・はどうしようもありませんが。
万が一、振込ミスをしてしまった場合は金融機関に「組戻し」を求める必要があります。
「組戻し」とは

「組戻し」とは、間違って振込んでしまったお金を、金融機関に返却するよう求める手続きです。
「組戻し」を依頼すると、金融機関が間違って振込んでしまった口座の名義人に「間違って振込んでしまったお金を、振込主に返却してほしい」という内容を伝え、それを了承してもらうことでお金は返却されます。
その流れを見てみましょう。
振込んだ金融機関が違う場合
間違った振込先が別の金融機関だった場合、手続きがやや複雑になるため金融機関によって多少流れは変わるかもしれませんが、大体は下記のような流れになります。
・AさんがY銀行からZ銀行に口座のあるBさん名義の口座に間違って振込んでしまった場合
- AさんがY銀行に「組戻し」をしてほしいと依頼をする。
- Y銀行はBさんの情報がないためX銀行に連絡し、Bさんに返却の旨を了承してもらうよう依頼する。
- X銀行がBさんに連絡し、間違った振込であったことを伝え返却の了承を得る。
- 返却の了承を得たX銀行は、その金額分をBさんの口座から引き落とす。
- X銀行はY銀行へお金を送金する。
- Y銀行はBさんの返答の確認と戻ってきたお金を確認し、間違って振込んだ金額をAさんの口座へ返金します。
この場合は、別の金融機関が絡み流れが複雑になるため、時間を要するケースが多いと思われます。
振込んだ金融機関が同じ場合
・AさんがY銀行から同じY銀行に口座のあるBさん名義の口座に間違って振込んでしまった場合
- AさんがY銀行に「組戻し」をしてほしいと依頼をする。
- Y 銀行はBさんの情報を持っているので、直接Bさんに連絡し、間違った振込であったことを伝え返却の了承を得る。
- 返却の了承を得たY銀行は、その金額分をBさんの口座から引き落とす。
- Y銀行はBさんの返答の確認と戻ってきたお金を確認し、間違って振込んだ金額をAさんの口座へ返金します。
この場合は、金融機関が同じなので比較的流れはスムーズに進むと思われますが、どちらのケースにも言えますが、相手が返却に応じないこともあるということもあり得ます。
その場合どうなるのか見てみましょう。
相手が返金に応じてくれない場合もあります!

「組戻し」は間違って振込んでしまった相手に返却の了承を得た上で成り立つものです。
もし相手が返却に応じなかった場合どうなるのか、腹立たしいことかもしれませんが、現実にあり得ることですのでしっかり対応していきましょう。
相手が返却に応じてくれなかった場合
相手が返却に応じてくれなかった場合どうなるのか。
金融機関は対処してくれない
まず、先ほども話しましたが、間違って振込んでしまい「組戻し」を依頼した場合、相手の了承がない限り返却はスムーズにはいきません。
だからといって、金融機関が「返却の旨、了承して下さい」と何度も粘り強く説得してくれるようなことはありません。
もし自分で説得しようにも相手がわかりませんし、金融機関に相談しても個人情報なので教えてもらうことは不可能でしょう。
不当利得返還請求訴訟
相手が返金に応じない場合は、「不当利得返還請求訴訟」というもので解決を目指すのがいいでしょう。
間違えた振込によって得たお金は、働いて稼いだお金でもなく、譲渡されたものでもないもので、契約などの法律上の原因なしで受け取った不当な利益になります。
よって民法第703条の定めにより「その利益の存する限度において返還する義務を負う」ことになります。
どういうことかというと、法律上変換の義務があるということなんです。
不当な利益の返還を求める場合、裁判所に「不当利得返還請求訴訟」を起こす必要があります。
- 金額が140万円以下・・・簡易裁判所
- 金額が141万円以上・・・地方裁判所
裁判所に訴訟を起こし、その判決により裁判官から相手側に命令してもらうことで、返金してもらうことができるということです。
振込んでしまった相手がわからないときは

先ほど、相手が返金に応じない場合は、「不当利得返還請求訴訟」というもので解決を目指すとお話ししました。
これには、相手の特定ができた上でのことです。
わからなければ、相手に訴訟を起こしたことを通知することができないので、手続きが進みません。
弁護士に依頼する
ここからは弁護士に依頼することで解決を目指すのがいいでしょう。
最低限の情報、金融機関の情報などをもとに相手を特定してもらうことになります。
それでも特定できない場合は最低限の情報をもとに訴訟をおこします。
それと同時に、「調査嘱託」を申したて、裁判所に調査してもらうことで金融機関からの情報開示を得られ訴訟を進められる可能性があります。
相手がお金を使いこんでしまっていた場合

間違って振込みしてしまったお金を相手が使ってしまっていた!なんてこともあり得ます。
この場合どうなるのか。
「自分の口座に入ったお金を使って何が悪い!」と言う方もいるかもしれません。
ですが、これは先ほどもお話ししましたように、法律上不当な利益となるため、相手に正当な権利は存在しません。
ですがここには「現存利益」というものが関わってきます。
正当な理由がないのに財産的利得を受け、これによって他人に財産上の損失を与えた場合には、利得を受けた者はその利得を返還する義務を負う(これを不当利得返還義務という)。
引用元:「R.E.words」
この場合において、利得を受けた者が善意のとき(すなわち正当な理由がないことを知らなかったとき)は、利得を受けた者は、利得が現に存在する範囲内で返還すればよいとされている。これを現存利益の返還義務と呼んでいる(民法第703条)。
具体的には、財産を遊興費で浪費してしまった場合にはその浪費分を差し引いた残額が現存利益である。ただし財産を生活費に消費した場合や、財産で借金を返済した場合には、それにより自分の財産の減少を免れているので、生活費や借金返済を差し引かない金額が現存利益となる。
そのお金で、物を購入したりしても形が変わったとはいえ、利益が残っているので返還義務は消えないということになります。
ですが、もし相手がこのお金が返還義務があると知らずに遊興費などで使いなくなってしまっていた場合、利益が残っていないと判断され、返還の義務を負わないとされることもあるため注意が必要です。
刑事告訴も検討

相手が返す気はないとかたくなに拒否した場合、刑事告訴も視野に入れてもいいかもしれません。
過去の事例では、「詐欺罪」「窃盗罪」などが認められるケースあります。
ですがこれは、お金が返してもらうためにおこすものではなく、「相手に罰を与えてほしい」という裁判になるということ。
おこす理由は、刑事告訴により相手が返還に応じる可能性があるということです。
まとめ
「間違って違うところに振り込んでしまった!」と気が付いたときは、早急に金融機関で「組戻し」の手続きを行ってください。
金融機関から、「間違って振り込みをされた」ということ聞き、返還に応じてくれることは多いと思います。
多少時間はかかると思いますが、自分のミスということを考えれば仕方ないと理解しましょう。
なかには「自分の口座に入ったお金を使って何が悪い!」と返還を拒むかたもいるかもしれません。
そんな場合は、法律の専門家に相談することをお勧めします。
弁護士費用もかかってきますので、返還してもらう金額とのバランスも考えながら相談してみてください。
なんにせよ、お金を振込などするときは、あわてず慎重に確認することが大事ですね!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。